インフォメーション
◆税務署が納付書を送ってこない
国税庁は、キャッシュレス納付の利用拡大に取り組んでいます。具体的な目標も掲げており、令和7年までに国税のキャッシュレス納付の割合を40%とするよう、キャッシュレス納付の利用推奨や利便性の向上のため、様々な施策を行っています。
その中で行政コスト抑制の観点を加えた理由に基づき、令和6年5月以降に送付する分から、e-Taxにより申告書を提出している法人の方などに、納付書の事前送付を取りやめるとしています。
◆事前送付が行われない方
〇e-Taxにより申告書の提出をしている法人の方
〇e-Taxによる申告書の提出が義務化されている法人の方(資本金が1億円超や通算法人等の特定の法人)
〇e-Taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望された個人の方
〇「納付書」を使用しない以下の手段により納付されている法人・個人の方
・ダイレクト納付・振替納税・インターネットバンキング等による納付・クレジットカード納付・スマホアプリ納付・コンビニ納付(2次元コード)
以上の方には、納付書の事前送付が行われません。また、源泉所得税の徴収高計算書や、消費税の中間申告書兼納付書については引き続き送付する予定と前書きしておきつつも、「電子申告及びキャッシュレス納付を是非ご利用ください」と利用を推奨しています。
◆申告は電子で納付は紙の場合
申告はe-Taxで行うものの、納付書を利用して納税しているという法人の方がいらっしゃると思いますが、この5月から「納付書が送られてこない!」と慌てないように気をつけましょう。
事前送付は行わないものの、納付書自体は所轄税務署に連絡すれば郵送してもらえますし、直接所轄税務署や金融機関(在庫があれば)に出向けば入手できます。
ただ、事前送付があった頃と比較してみると、手間もかかることですし、そろそろキャッシュレス納付を考えてもよい頃合いかもしれませんね。
7月10日
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付(年2回納付の特例適用者は1月から6月までの徴収分を7月10日までに納付)
7月16日
●所得税の予定納税額の減額申請
7月31日
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付(7月中において市町村の条例で定める日)
◆帝国データバンクが調査
帝国データバンクによると、2023年中に休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む)は 5 万9105 件でした。2019年以降2023年初旬まで減り続けていた休廃業は夏以降に急増し、前年比110.6%と急増となりました。
休廃業はこれまで、持続化給付金等の資金繰り支援が功を奏し、コロナ禍でも抑制された水準で推移してきましたが、2023 年に入り支援策の縮小、物価高、人手不足問題に伴う人件費負担の増加など四重・五重の経営問題が押し寄せたため、収益面・財務面で傷ついた中小企業では「事業継続か否か」の決断を迫られ、「あきらめ廃業」を余儀なくされている、とのことです。
◆NHKの紹介報道
4月2日NHK夜7時「インボイス制度 意外な業種に影響」というタイトルでのニュース報道がありました。「意外な業種」とは、ズバリ「税理士」です。
2023年の廃業数の増加率が前年比で最も高かったのは「税理士事務所」だったのです。
従前から税理士の高齢化が課題となっていた中で、競争激化による顧問企業の減少、顧問料の低下など経営環境の悪化がある中で、インボイス制度の導入など新たな業務のスタートなども影響したとみられる、と前記の帝国データバンク情報にあり、これを紹介していました。
◆全国企業「休廃業・解散」動向調査(2023)
帝国データバンクの公開情報の「業種詳細 前年比増減率・休廃業率上位推移」の項目のところの「増加率 上位」の最上位に、「税理士事務所」があり、22年廃業30件、2023年廃業81件、前年比170%増と記されています。
「休廃業・解散率 上位」の項目のところでも、「会計事務所(税理士事務所)」は2023年廃業率4.97%で上位4位に位置するとされています。
因みに、「社労士事務所(社会保険労務士)」が2023年廃業率5.24%で、税理士事務所より上の上位3位の位置を占めています。
社労士業界の休廃業・解散率の高さの原因は、税理士業界と共通しているように思われ、消費税インボイスの登録事業者になるか否かの判断に当たり、「あきらめ廃業」に舵を切ることになったところが多いのだと思われます。
◆定額減税が6月から
本人と配偶者・扶養親族について一人当たり所得税3万円(住民税1万円)を減税しますという定額減税が6月から始まり、源泉徴収税額に影響が出ます。この適用対象となる本人と配偶者・扶養親族については、次のような適用要件があります。
◆減税を受けられる本人の要件
1.令和6年分の所得税の納税者
2.日本国の居住者
3.本年分の主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円以下(子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける人は、2015万円以下)
◆減税を受けられる配偶者の要件
1.この減税を受ける本人と同一生計
2.合計所得金額が48万円以下
3.非居住者でない
4.青色事業専従者給与受給者・白色事業専従者控除適用者でない
合計所得金額48万円は給与年収では、103万円です。
源泉所得税の徴収計算で「扶養親族の数」を一人増やすことになる源泉対象配偶者及び配偶者控除適用を受けられる配偶者とは範囲が異なっています。
源泉対象配偶者は、合計所得金額が 95 万円(給与収入では 150 万円)以下が要件ですが、減税対象配偶者の所得要件は48万円以下です。
◆減税を受けられる扶養親族の要件
1.配偶者以外の親族
2.この減税を受ける本人と同一生計
3.合計所得金額が48万円以下
4.青色事業専従者給与受給者・白色事業専従者控除適用者でない
上記における親族とは、民法に定める親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)をいいます。
所得税の扶養控除の対象とならない16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)も控除金額の計算対象に含まれます。
◆要件充足のための追加申告書
この減税を受ける本人の合計所得金額が900万円超のため、扶養控除等申告書の源泉控除対象配偶者の欄が空欄になり、減税対象配偶者要件に係る情報不足となる場合には、別途「源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」に同一生計配偶者の情報を記載して、給与支払者に提出する必要があります。
◆交際費の基本
交際費の損金算入については、法人の資本金ごとにルールが定められています。
・資本金100億円超:交際費の損金算入は一切認められません。
・資本金100億円以下1億円超:飲食費等の交際費の50%を損金算入可能。
・資本金1億円以下:飲食費等の交際費の50%か、800万円までを損金算入かを選択適用。
尚、個人事業主については、税法上の上限額はありません。
◆変わったのは飲食等の金額基準
令和6年度税制改正では、上記の交際費の損金算入のルールは変わらなかったものの、「交際費にしなくて良い」という飲食費の金額基準が令和6年4月1日以降、一人5,000円以下から1万円以下に変更となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響から窮地に立たされていた飲食業界ですが、徐々に持ち直してきており、あわせて企業が使っている交際費の金額も回復傾向にあります。ただ、物価の動向等を踏まえると「5,000円では法人間の接待に使い辛い」という感想を抱いていた方も多いのではないでしょうか。
今回の改正については、今般の価格転嫁、ひいては賃上げという経済の好循環につながる事も期待されているのでしょう。
◆基準変更の注意点
適用が4月1日のため、3月末決算法人以外の法人については、期中に5,000円と1万円の金額基準が混在するため、経費精算システム等で誤りが無いようチェックする必要が出てくる場合があります。また、交際費ルールを社内規定等で定めている場合は、改正を視野に入れて、社内規定等を改めるか検討しましょう。
また、税込経理・税抜経理により交際費にしなくて良いかの判定基準が変わる(税込の場合11,000円で交際費等に含まれ、税抜の場合10,000円仮払消費税等1,000円で交際費に含まれない)のは従来と同様です。
税抜経理の場合は、支払い先がインボイス発行事業者か否かでも、判定に影響がありますから、ご注意ください。