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では、事業者連携による6次産業化では具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。
政策面においては、中小企業者と農林漁業者が連携し、それぞれの経営資源を有効に活用して行う事業活動を促進することを目的として2008年に「農商工等連携促進法」が施行され、認定事業者に対する金融支援や専門家派遣、補助金による支援などが行われています。
また、農林水産省「6次産業化の取組事例集」では全国の6次産業化の事例が紹介されていますが、これらの事例においてもさまざまな事業者連携が行われています。
沖縄県今帰仁(なきじん)村の農業生産法人株式会社今帰仁ざまみファームでは、睡眠改善効果があるといわれ研究が進められている沖縄の伝統的島野菜クワンソウに着目し、一次加工品として乾燥葉を製造し、流通業者を通して製薬会社への販売を行っています。
また、付加価値向上を図るため、クワンソウの機能性を生かした多様な商品の開発を実施しています。具体的にはクワンソウの花や茎、葉粉末を混ぜ込んだスイーツの開発を行っていますが、こうしたスイーツ等の加工品開発にあたっては、食品製造業者との連携を図っています。
さらに、クワンソウの花摘み体験ツアーのような観光ツアーの企画・運営にあたっては地元観光業者との連携を図っています。
このように、専門的なノウハウを有する他産業の事業者との連携を図ることで、6次産業化を推進し、付加価値の拡大を図ることが可能となるのです。(了)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
6次産業化とは、「1次産業としての農林漁業と、2次産業としての製造業、3次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す」取組みです。「1次産業(生産)×2次産業(加工)×3次産業(販売)=6次産業化」とすることで付加価値の拡大を図ることを狙いとしています。
日本政策金融公庫が2011年12月に実施した「6次産業化に関するアンケート調査」によると、6次産業化に取り組んだメリットとして最も回答割合が高かったのは「所得の向上(74.5%)」であり、以下「農産物の生産拡大(50.3%)」「企業的経営の確立(34.5%)」「社員のやりがい向上(28.5%)」「地域からの支援確保(28.5%)」となっています。6次産業化が所得の向上につながる背景には、直接販売に伴い価格決定を主導的に行うことが可能となり、利益率が向上することがあります。
一方で、6次産業化に取り組むにあたっての課題として最も回答割合が高かったのは「商品の差別化・ブランド化(67.3%)」であり、以下「当該事業に必要な人材の確保(55.8%)」「原材料、製品の品質の高さ(54.5%)」「事業開始・継続にあたっての円滑な資金調達(52.7%)」「マーケティングに基づいた商品開発(39.4%)」となっています。このように1次産業の農業生産技術以外に、6次化のカギを握る農産物加工や接客・営業・会計などのノウハウの取得や人材確保が課題となっています。
しかし、一次産業者が単独で商品のブランド化、人材確保、新商品の開発を図ることは容易ではありません。このため農林漁業者が主体となり、他産業と連携して事業展開を行う取組みへの関心が高まっているのです。(つづく)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
◆預貯金のマイナンバー管理
平成27年8月のマイナンバー法改正に伴い、国税通則法を改正し、銀行等に対し、マイナンバーによって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課す、としました。ただし、9月9日に改正公布されていますが、3年内施行ということで、まだ施行はされていません。
◆現在ある預貯金口座とマイナンバー
銀行が個人の顧客に支払う利子の課税については、源泉分離課税で課税が終了することから、利子支払調書の提出が免除されており、銀行等の預金口座に関しマイナンバーを付す必要性も法的根拠もありません。
それで、預金口座へのマイナンバー付番の根拠として、マネーロンダリング対策や、預金保険機構による預金者救済などでの名寄せ、災害時の迅速な対応といった場面で必要だから、との建前を出して、平成30年以降は口座への付番を預金者の任意の協力の下でできることに法制化しました。
◆改正通則法の付番管理
税務当局には質問検査権があり、金融機関に対し従来より、過去数年間の預貯金情報の照会をしており、マイナンバー付番があれば、そのマイナンバーにより名寄せした情報の開示を金融機関に対して行うことは今後とも可能なところです。
ところが、金融機関等をあまり信用していないのか、対応に不満があるのか、金融機関からの迅速・的確な回答を確保し、税務調査における預貯金調査の効率性を高める観点から、金融機関に対して、マイナンバーに紐付けて預貯金口座に関する情報を管理するという義務を課すこととしました。冒頭の改正法です。
◆マイナンバー告知強制があるかも
預貯金者は金融機関から、保有する預貯金口座について、マイナンバーの告知を求められることが予想されますが、預貯金者における金融機関に対するマイナンバーの告知は、義務ではなく、あくまで任意です。
◆付番促進検討は3年後
なお、預貯金口座へのマイナンバーの付番が進まないことも考え得るところですが、今般の番号改正法の附則において、本制度施行から3年後の見直し規定が設けられており、その時点で付番の状況等を踏まえ、更なる付番の促進に向けた施策の検討を行うこととされています。
政府は平成29年度税制改正大綱に、高層マンションの上層階の固定資産税額引き上げを盛り込む方針を固めました。固定資産税評価額と実勢価格の開きを利用した「タワマン節税」に、とうとう課税強化の網がかけられることとなります。
マンションの固定資産税には「階層」という概念はなく、1階であろうと50階であろうと、同じ面積には同じ税額がかかっています。検討している新たな計算方法は、高層階ほど重負担に、低層階ほど軽負担にするというもの。おおよそ20階を境界線とし、それより上の階であれば固定資産評価額が現在より高くなるそうです。具体的な算定方法などは今後詰めるため、どの階層からどの程度税負担が増えるのかは未確定。政府は年末までに骨格を固めて税制改正大綱に盛り込み、早ければ再来年から新制度を開始する方針だとしています。
今回の改正の目的は「実売価格と固定資産税評価額のギャップ」の解消です。50階以上あるようなタワーマンションでは、低層階との価格差が1億円以上開くことも珍しくないため、資産価値に差があるのに固定資産税が同一なのは不公平だという声が挙がっているというのが、与党の説明する見直しの理由です。
さらに、近年富裕層の間で行われてきた相続税対策の手法である「タワマン節税」が狙い撃ちされることになります。
不動産を相続財産として評価する際には、固定資産税評価額が算定基礎として用いられます。つまり階数やカド部屋といった要素は考慮されません。先述したように、マンションの分譲区画の固定資産税評価額は階数にかかわらず同一。それに対し、実際の取引価格は高層階ほど高くなる傾向があります。タワマン節税はその差を利用して、相続税負担を抑えるスキームです。
<情報提供:エヌピー通信社>
◆会社が社長に支払う債務保証料
会社が金融機関から融資を受ける場合に、社長を保証人とするよう求められることがよくあります。
このような場合、社長が会社の保証人となったのだから、会社は社長に対して保証料として相当の金額を支払ってもよいのではと考えるのは自然な発想です。
問題となるのは、その保証料の「金額」。過去の税務訴訟では、この保証料としての「相当の金額」が争われたものがあります。
◆信用保証協会の年利率までは「相当」
この裁判の原告は消費者金融業を営む同族会社でした。この会社は、銀行借入の際に、代表取締役社長が連帯保証や担保提供を行っていたことから、社長に対して、その借入金の月初残高に月利率約0.167%(年利2%相当。民間の保証会社の保証水準)を乗じた金額を「支払利息」として支払い、損金の額に算入していました。
これに対して税務署側は、信用保証協会の最高保証率である年利率1%(当時)を超える部分を「役員報酬」と認定し、この部分が支給限度額を超過することから、損金算入を認めませんでした。会社側はこれを不服とし、裁判となりました。
◆役員による会社債務の保証の性質
裁判所は、原告の主張する民間保証会社の保証料率を参考にすることは相当でなく、税務署が主張する信用保証協会の保証料算出基準を参考とした率による処分を認めました。そもそも、会社の役員が会社の債務保証を行うのは、役員の信用力の提供自体を期待するものでなく「経営責任」上の問題であって、営利目的ではないのだから、営利目的である民間保証会社の保証とは著しい相異がある―というのが理由でした。
◆保証料を支払う場合の注意事項
この判例を見ると、信用保証協会の年利率までの保証料の支払いは認められそうですが、その「保証の必要性」、「融資の内容」、「保証範囲」等を勘案し、支払うことが適正と認められるような状況であるという「前提条件」が必要と思われます。
そのため、融資に当たり、会社に定期預金、不動産等の提供できる担保物がある場合や、既に他に十分な担保があり、役員個人の保証は単に形式的なもので危険負担をしている事情がないときは、保証料を支払っても単純損金とされず、役員給与とされるでしょう。