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2024-08-23 18:00:00

◆労働条件の明示義務
 2024年4月から、労働条件の明示義務について、その範囲を広げる労働基準法施行規則の改正が施行されていますが、当該明示義務は、職業安定法(以下「職安法」)にも規定があります。求人を行おうとする者は、求人の申し込みをするにあたり、求職者に労働条件を明示しなければならないことになっています。明示すべき労働条件の内容等については、今回の労働基準法施行規則の改正に合わせ、就業場所の変更の範囲、従事すべき業務の変更の範囲等が追加されています。(職安法施行規則4条の2第3項を参照)

◆求人時の労働条件を巡るトラブル
 求人票等に記載された労働条件と異なる労働条件が、その後面接等の採用過程で提示された場合には、しばしばトラブルとなることがあります。この場合に争点となるのは、求人票等に記載された求人時の労働条件は、「あくまでも見込みにすぎない」のか、あるいは、「労働契約の内容になるのか」です。この点での従来の裁判例の判断は、「求人時の労働条件は原則として労働契約の内容となるが、賞与や昇給等、事業の業績や経済情勢の変動等の不確定要素に大きく左右されることが明らかであるものは例外」とする判断がある一方で、求人票等の記載内容にもう少し強い効力を認める判断がされるものがあり、近年の裁判例でも「求人票の労働条件を重視する判断」が多く見られるようになっています。つまり、求人票等による求人時の労働条件と、実際の労働条件が異なる場合には、裁判所は労働者に有利な解釈をする傾向にあります。

◆求人時における労働条件明示の注意点
 特にトラブルが起こり得るのは、賃金についてです。労働者にとっては、最も関心が高い労働条件である一方、企業にとっては採用前の段階では、具体的な金額を明示することが困難であるからです。トラブルが起こり得るのは、賃金には限りませんが、ここで重要なことは、「企業側が労働者(求職者)に誤解を生じさせないこと」であり、求職者が誤解を生じないように、求人票等での的確な記載や面接等での丁寧な説明が必要になります。


2024-08-22 18:30:00

 全国法人会総連合(小林栄三会長)がこのほど実施した定額減税への「対応状況に関するアンケート調査」で、給与計算担当者の約9割が「事務負担が増えた」と回答しました。景気・物価対策としての効果については6割超が「効果がない」と答えています。

 調査結果によると「月次減税額の管理」が必要となるため、給与計算担当者の約9割が「事務負担が増えた」と感じていることが明らかとなりました。現場の声としては「定額減税に係る業務すべてが負担」「お金に関することで間違えてはいけないという心理的負担」「本来は必要がなかったムダな業務を行うことこそが心理的ストレス」などの意見が寄せられています。その一方で、「給与計算などの事務作業は外注しているので、自社では何もしていない」といった回答も一定数みられました。

 また、「今回の定額減税は景気・物価対策としての効果を期待できるか」との問いに対しては6割超が「効果がない」と回答。「一括でないため効果が実感できない」「給付金方式なら企業側の負担がなかった」「事務に係る手間・時間を考えるとむしろマイナス」といった不満の声が多く寄せられました。

 定額減税が来年度も実施される可能性があることへの是非については「企業に事務負担がかからない別の方法で実施すべき」との回答が7割超を占めました。また、「景気対策なら期間限定の消費税減税が効果的」といった意見も寄せられています。

<情報提供:エヌピー通信社>


2024-08-09 13:00:00

日頃より大変お世話になっております。

当事務所では次の期間を夏季休業としますのでご案内申し上げます。

夏季休業 8月13日(火)~8月16日(金)

 


2024-08-06 10:00:00

◆就業規則の問題点
 「就業規則を作ったのに実務で使えない」と感じたことはありませんか。例えば、就業規則に定めた解雇事由や懲戒事由に該当するとして行った解雇処分や懲戒処分について、労働者が不服として労働基準監督署に申告をし、又は、裁判になった場合、会社が不利になったり負けたりということが少なくありません。会社としては、「ただ就業規則の記載に沿った処分をしただけなのに」という感想を抱いてしまいます。
 この問題の原因が、就業規則の内容にあることは多いです。現状の日本の労働法制では、法律の表現には抽象的で画一的なものが多く、具体的な考え方や判断基準はこれまでの膨大な量の裁判例が蓄積されたものから成り立っているからです。つまり、就業規則の内容も、法律の文言に沿った表現での記載だけでは足りず、過去の裁判例を踏まえた具体的な内容にしなければ、実際の労務トラブルに対応できなくなってしまうのです。

◆主な原因は2つ
 抽象的な法律表現による就業規則と、裁判例を意識した内容の就業規則との違いは、次の2つの視点が意識されているかいないかに大きな違いがあります。この2点の意識が薄い就業規則に沿って、会社の行為が行われた場合には、会社に不利な結果になることがあります。
 ①解雇権濫用法理
 ②合理的限定解釈
 この2つをごく簡単に説明すると、法律上は会社の権利として認められる行為であっても、裁判所や労働基準監督署から「それはやり過ぎ」と一定の制限がかかることです。例えば「解雇事由」や「懲戒事由」は、原則として会社が自由に定めることができる権利ですが、実際の運用において、「労働者の起こした問題と比較して、その処分は重すぎる」として無効とされることがあります。これは会社が権利を濫用したとしての、解雇権濫用法理にあたります。また、会社が規定した就業規則の内容が広すぎる、例えば、「兼業・副業を全面的に禁止する」との規定について、裁判所が「業務に支障を来たさない範囲での兼業・副業まで禁止すべきでない」と判断することがありますが、これは、会社が定めた「全面禁止」を修正し、「合理的な範囲で解釈すべき」と合理的限定解釈がされたことによります。


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