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2024-10-31 21:03:00

 相続で子に居宅を引き継ぐとき、子は既に別居して生計を別にしているが、持ち家ではない場合、居住用宅地について一定の要件を満たすことにより、小規模宅地等の特例を適用して土地の評価額を最大80%(土地面積330㎡まで)減額して相続税の負担を軽減することができます。一般に「家なき子特例」と呼ばれますが、子に限らず親族に適用することができます。

◆被相続人の要件
①被相続人に配偶者がいないこと。
②相続開始の直前において被相続人と同居していた法定相続人がいないこと。

◆取得者の要件
①被相続人の居住用宅地を相続又は遺贈により取得すること。
②居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと。
③相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがないこと。
④相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと。
⑤相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を有していること。

◆老人ホームに入居の場合
 相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていなかった場合においても、相続開始の直前において要介護認定、要支援認定等を受けていたこと、老人福祉法等に規定する老人ホーム等に入居等をしていたこと、建物を事業の用、被相続人等以外の者の居住の用に供していないことの要件を満たすときは、入居等の直前まで被相続人の居住の用に供していた宅地等は特定居住用宅地等に該当し、先に掲げた要件を満たすときは特例の適用を受けることができます。

◆孫に遺贈することもできる
 「家なき子特例」は被相続人の親族に適用されますので、子に既に持ち家がある場合は持ち家のない孫に居宅を遺贈し、先に掲げた要件を満たすときは、特例の適用を受けることができます。なお、孫は相続人ではないので相続税は2割加算となります。孫世帯の生活設計と合致すれば居宅を承継させる有効な方法となるかもしれません。

2024-10-29 14:57:00

この度、10年以上お世話になった油屋町事務所から移転いたしました。

これを機に、なお一層の研鑽に努めたいと思います。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

2024-10-10 18:30:00

◆47都道府県で50円~84円の引上げ
 令和6年地域別最低賃金改定額が中央最低賃金審議会で取りまとめられ公表されました。各都道府県労働局長の決定により10月1日より順次発令されます。
 地域別最低賃金の全国整合性を図るため目安額のランクを設けていますが、3区分の改定額を見て行くとAからCの47都道府県すべてが50円以上引き上げられ、引上げ幅の最高は徳島県の84円でした。額では東京都が時給1,163円と最高です。
 最高額1,163円と最低額951円の金額差は212円です。差の割合は81.8%と地域格差は少しずつ改善しています。

◆28県で目安を上回る回答相次ぐ
 近年最低賃金は引上げの流れが続いていますが、消費者物価の上昇が大きいことも背景にあり、最低賃金引上げ幅も上昇しています。目安を上回る引上げが賃金の低い地方で相次ぎました。少しでも近隣の地域より高くすることで地域経済を活性化して若年層の流出を防ぎ、労働人口を確保するためには目安より高い金額が必須と上乗せした回答が27県ありました。引上げ幅の全国加重平均額は51円で過去最高となっています。

◆令和6年度の改定額は以下の通り
・50円改定 東京1163円 神奈川1162円 埼玉1078円 千葉1076円 北海道1010円 宮城973円 栃木1004円 群馬985円 富山998円 山梨988円 長野998円 静岡1034円 愛知1077円 三重1023円 滋賀1017円 京都1058円 大阪1114円 奈良986円 岡山982円 広島1020円
・51円改定 石川984円 岐阜1001円 兵庫1052円 和歌山980円 山口979円 福岡992円
・52円改定 茨城1005円 香川970円
・53円改定 福井984円
・54円改定 秋田951円 新潟985円 熊本952円
・55円改定 青森953円 山形955円 福島955円 高知952円 大分954円 長崎953円 宮崎952円
・56円改定 佐賀956円 鹿児島953円 沖縄952円
・57円改定 鳥取957円
・58円改定 島根962円
・59円改定 愛媛956円 岩手952円
・84円改定 徳島980円

2024-10-07 19:00:00

 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)による節税手法が10月1日から一部封じられました。これまでは解約と再加入を繰り返すことで何度でも掛金を損金算入できましたが、今後は解約後に損金算入できなくなる期間が設けられ、節税目的での利用が制限されます。

 経営セーフティ共済は中小事業者の連鎖倒産を防ぐための制度で、加入者は取引先が倒産した際に、無担保・無保証人で掛金の最大10倍(上限8千万円)の金額を借りることができます。掛金は月額5千円から20万円までの範囲で選べ、その全額(年間最大240万円)を損金算入することが可能です。
 同共済では、解約時に解約手当金を受け取れます。解約事由や加入期間に応じて支給率は異なり、自己都合の解約でも掛金を12カ月納めていれば総額の8割、40カ月以上であれば全額が返還されます。

 こうした仕組を踏まえ、共済制度としてだけではなく、多くの事業者に節税策としても活用されています。積立金が上限に達した時点で共済を解約して再加入すれば、掛金の損金算入を繰り返せるからです。
 解約時に受け取る手当金は収益扱いとなりますが、赤字の会計期間に解約すれば課税を免れることが可能。また、役員退職金など大型の経費を計上した際に解約して相殺する方法も考えられます。

 中小企業基盤整備機構によると、2022年度の任意解約3万2570件のうち、解約手当金が100%支給される加入後3年目と4年目の解約件数は計1万775件で全体の約3割を占めたそうです。解約から再加入までの期間が1年未満のケースが72.1%、1年以上2年未満が11.5%で、2年以内に再加入する割合は8割以上となっています。2024年度の税制改正で、解約後に再加入しても解約から2年が経過するまでは掛金の損金算入を認めないこととなりました。

<情報提供:エヌピー通信社>

2024-10-01 18:30:00

◆日本列島は遺跡の宝庫
 貝塚や住居跡、古墳などの遺跡は全国で約46万か所あり、毎年9千件程度の発掘調査が行われているそうです。自治体は既に発見されている遺跡の分布図を公開しており、これらの地域でマンションや商業施設などを開発するときは文化財保護法の規制を受け、工事期間にも影響が出てきます。

◆埋蔵文化財のある土地は届出と調査が必要
 埋蔵文化財が周知されている土地(「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいます)を土木工事により発掘しようとする場合は届出して、必要があるとされたときは、試掘調査、発掘調査、現状保存などを行います。また周知の埋蔵文化財包蔵地以外で遺跡を発見したときは、現状を変更することなく、遅滞なく届出が求められます。

◆評価方式が新たに公表される
 国税庁は、平成16年7月、土壌汚染地の評価について取扱いを公表しました。その後、周知の埋蔵文化財包蔵地について減価を認める裁決事例や、設計変更により発掘調査の必要がなく減価が認められなかった裁決事例などを受け、令和6年7月、埋蔵文化財包蔵地についても新たに土壌汚染地の評価に準じた評価方法が示されました。

◆原価方式による評価方法
 原価方式による評価方法では、路線価等による「文化財がないものとした場合の価額」から「発掘調査費用に相当する金額」を控除します。文化財がないものとした場合の評価は、地価公示価格水準の8割程度とされるため、発掘調査費用についても見積額の80%相当額で評価します。見積りは最も合理的な方法によるものとされます。
 周知の埋蔵文化財包蔵地に該当しない場合であっても文化財が出土して経済的負担が生じる可能性がある場合、周知の埋蔵文化財包蔵地に隣接する場合、一定の面積以上の開発が行われ、試掘調査や発掘調査を実施する場合には埋蔵文化財包蔵地の評価の適用の可能性があるとされています。

◆埋蔵文化財の評価がされないこともある
 一方、埋蔵文化財の存在する可能性が潜在的な段階では埋蔵文化財包蔵地として評価できないとされています。また、土地所有者に発掘調査費用の負担がない場合、対象地域で発掘調査費用が生じることの確実性が低い場合も発掘調査費用はないものとして取り扱われますので注意が必要です。
 なお、個人が自己の専用住宅を建設するときの発掘調査費用は公費負担となります。

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