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◆控除に対するルール決めが必要
給与計算において、賃金計算期間途中に従業員が欠勤、遅刻、早退、私用外出等で休み給与から不就労控除をする場合、働いていない分の給与の支払い義務はありませんが、控除のルールを決めておかないと無用なトラブルになりかねません。
賃金は労働力の対価ですので、不就労(労働力が提供できない)の場合、対価(賃金)はノーワークノーペイの原理からして得られません。ただ月次給与は基本給などの定額項目が多く、定額部分の金額を変更することは煩雑です。そのため月次給与を減額する時の項目やルールが必要になります。
◆不就労控除をする方法
控除をするには(基本給+手当)÷1か月平均所定労働時間数×不就労控除時間数が一般的ですが、欠勤控除の方法は労働基準法に規定されていません。欠勤控除をするには次のようないくつかの要素があります。
①1日当たりの金額を算出する場合、分母をどうするのか?
ア、「当該月所定労働日数」不就労があった月の所定労働日数
イ、「年平均所定労働日数」1年間の所定労働日数を12で除した日数
ウ、「当該月暦日数」不就労があった月の暦日数
②1時間当たりの金額を算出する場合の分母をどうするのか?
ア、「当該月所定労働時間数」不就労があった月の所定労働時間数
イ、「年平均労働時間数」1年間の所定労働時間を12で除した時間数
③不就労の時間を控除するのか、就労した時間を支給するのか?
ア、「控除方式」遅刻や欠勤で不就労になった時間相当額を控除する
イ、「支給方式」実際に就労した時間相当額を支給
当該月の所定労働日数で控除すると月により時間単価が変わってきます。また、1年の平均労働時間数を使えば分母が毎月変わらなくていいのですが、1日だけ出勤したときに給与が0になる場合があります。暦日方式は土日祝日の分も支給されてしまうなど問題があります。結局、通常簡便な方法としては年平均所定労働時間数を使う控除方式が扱いやすいと言えるでしょう。
コロナ禍によりテレワーク(在宅勤務)が広まりつつある中、ジョブ型雇用を導入する企業が増えています。ジョブ型雇用では仕事の達成度合いが評価の基準になります。
先日、日立製作所は約2万3000人を対象に、ジョブ型雇用の導入を表明しました。ほかにも、NTTグループやカルビー、資生堂など、多くの企業で導入を表明しています。ようやく、日本の労務管理のあり方にも変化の兆しが見えるようになりました。
とはいえ、成果主義の導入は、1990年初のバブル崩壊や2000年初頭のITバブル崩壊など、経済危機が訪れるたびに話題となりました。それでも、日本の社会には馴染めず定着しませんでした。
理由は多岐に渡りますが、評価基準に対して社員の不満が拭えないことが一つとしてあります。労働に対して職務の達成度が評価の基準となれば、短期間で成果を挙げた人が高く評価されるようになります。会社にとって大切な仕事なのに、地味で成果が見えにくい仕事に就くと不当に低く評価されてしまうことも不満の要因になりました。
また、中には、お金を多くもらうことが必ずしもモチベーションに繋がらないという人もいます。お金よりもやりがいのある仕事に就き、徐々に重要なポジションに就くことがモチベーションに繋がるという人も少なくありません。このような層に対しては、仕事の達成度で賃金を支払うだけでは十分とは言えません。達成度が高ければ、次はさらにやりがいのある仕事や重要なポジションに就けるといったインセンティブが必要になります。
今回のジョブ型雇用は日本社会に根付くのか。あるいは、かつての成果主義のように消滅していくのか注目したいところです。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
働き方や人事評価制度について改革の必要性が叫ばれて久しいのですが、これまでは一向に進みませんでした。ところが、コロナ禍によりテレワーク(在宅勤務)が広まり、雇用体系にも変化が表れ始めています。
変化の一例を挙げると、ジョブ型雇用の導入があります。ジョブ型雇用とは成果を重視する雇用制度で、働き手は、まず自身の業務内容を職務定義書に定めます。賃金は職務の達成度合いを重視して支払われるというものです。日本企業の多くは、働き手に対して労働時間をもとに管理し、賃金を支払う形をとってきました。ただ、テレワークが広まり労働の状況を時間で管理するのが難しくなりました。そこで、時間以外の基準で管理することが必要になり、ジョブ型雇用を導入する企業が増えたのです。仕事の達成度で評価すれば、時間で管理しなくても評価できるようになります。
働き手にとっても、働き方の自由度が増すというメリットがあります。子育てや家事の隙間時間を活用すれば、より多くの仕事ができます。また、親の介護と仕事の両立も可能になります。
変化は管理の基準だけでなく、採用にも現れました。社員の採用で、出社を前提としない雇用契約を結ぶ企業も生まれています。また、「国内ならどこに住んでいてもいい」とルールを設定した会社もあります。
近年、人材不足に悩む企業は少なくありません。テレワークを前提に採用できるようになると、オフィスに通えない遠隔地に住む人材も採用でき、多様な人材を獲得できるチャンスが広がります。
テレワークの導入には、これまで社会が抱えていた課題の解決に繋がるといったメリットもあります。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
◆労働保険料の年度更新とは
労働保険の年度更新とは、毎年6月1日から7月10日までの間に、労災保険と雇用保険について、前年度の確定保険料と今年度の概算保険料を申告する手続きで、労働保険料の「確定申告」といえます。
前回の年度更新で申告した前年度の概算保険料と確定保険料の差額について、不足分は納付し、余剰分は還付を受けるか、新年度の保険料への充当を選択することになります。
なお、新型コロナウィルスの影響により、特例として、今回は8月31日まで期限が延長されています。
◆労災保険料と雇用保険料の算定
労働保険料の申告納付は労災保険と雇用保険を1つの申告書でまとめて行いますが、保険料算定の基礎となる賃金総額は、労災保険と雇用保険で異なります。
労災保険は、パートタイマーやアルバイト等を含むすべての労働者に支払った賃金総額が保険料算定の基礎になります。
一方、雇用保険は雇用保険被保険者のみを対象とするため、週の労働時間が20時間未満のパートタイマーや昼間学生など雇用保険の被保険者とならない労働者へ支払った賃金総額は雇用保険料算定の基礎から除外します。
◆64歳以上も雇用保険料の納付対象に
今回の年度更新では、64歳以上の社員がいる会社は注意が必要です。
従来、保険年度初日(4月1日)に64歳以上の被保険者(以下、高年齢労働者)は、雇用保険料の納付が免除されていましたが、令和2年度から免除除外となりました。
よって今回の年度更新では、前年度の確定保険料の算定に際して、昨年4月1日時点の高年齢労働者の賃金総額は除外し、今年度の概算保険料の算定には、今年4月1日時点の高年齢労働者の賃金総額を含めることになります。
また、雇用保険料の賃金控除も必要ですので、控除漏れがないか確認しましょう。
新型コロナウイルス対策を盛り込んだ2020年度2次補正予算が国会で可決・成立しました。安倍首相は「100兆円規模の予算」とうたいますが、その数字は金融機関や民間による支出も含むもので、実際の予算は一般会計歳出総額31兆9114億円となります。もちろんそれでも異例の規模であることに間違いありません。
中小企業にとって2次補正予算の最大のトピックは、雇用調整助成金の上限額の引き上げでしょう。中小企業支援の柱でありながら、これまで利用が伸び悩んできた同助成金につき、従業員1人1日当たり8330円となっていた上限を、一気に1.8倍の1万5千円まで引き上げました。また企業が助成金を申請しないケースに備え、従業員が直接申請・受給できる新たな給付金を創設することを決定しました。
さらに店舗やオフィスの家賃支払いに苦しむ企業を対象に「家賃支援給付金」もスタートさせました。一定以上の収入減少を要件に、月額最大100万円の家賃を半年間補助します。
先行してスタートした持続化給付金などでは、申請から実際にお金が振り込まれるまでに時間がかかっています。新たな給付金についても、どれだけスピーディーに困窮者の手元に行き渡るかが問われそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>