インフォメーション
◆会社が社長に支払う債務保証料
会社が金融機関から融資を受ける場合に、社長を保証人とするよう求められることがよくあります。
このような場合、社長が会社の保証人となったのだから、会社は社長に対して保証料として相当の金額を支払ってもよいのではと考えるのは自然な発想です。
問題となるのは、その保証料の「金額」。過去の税務訴訟では、この保証料としての「相当の金額」が争われたものがあります。
◆信用保証協会の年利率までは「相当」
この裁判の原告は消費者金融業を営む同族会社でした。この会社は、銀行借入の際に、代表取締役社長が連帯保証や担保提供を行っていたことから、社長に対して、その借入金の月初残高に月利率約0.167%(年利2%相当。民間の保証会社の保証水準)を乗じた金額を「支払利息」として支払い、損金の額に算入していました。
これに対して税務署側は、信用保証協会の最高保証率である年利率1%(当時)を超える部分を「役員報酬」と認定し、この部分が支給限度額を超過することから、損金算入を認めませんでした。会社側はこれを不服とし、裁判となりました。
◆役員による会社債務の保証の性質
裁判所は、原告の主張する民間保証会社の保証料率を参考にすることは相当でなく、税務署が主張する信用保証協会の保証料算出基準を参考とした率による処分を認めました。そもそも、会社の役員が会社の債務保証を行うのは、役員の信用力の提供自体を期待するものでなく「経営責任」上の問題であって、営利目的ではないのだから、営利目的である民間保証会社の保証とは著しい相異がある―というのが理由でした。
◆保証料を支払う場合の注意事項
この判例を見ると、信用保証協会の年利率までの保証料の支払いは認められそうですが、その「保証の必要性」、「融資の内容」、「保証範囲」等を勘案し、支払うことが適正と認められるような状況であるという「前提条件」が必要と思われます。
そのため、融資に当たり、会社に定期預金、不動産等の提供できる担保物がある場合や、既に他に十分な担保があり、役員個人の保証は単に形式的なもので危険負担をしている事情がないときは、保証料を支払っても単純損金とされず、役員給与とされるでしょう。
遺産相続の際の預貯金の取り分をめぐって争われている審判で最高裁大法廷は10月19日、当事者双方の意見を聞く弁論を開きました。大法廷は判例変更が行われる際に開かれるため、判例が変更される可能性が極めて高くなります。判例が変更になれば、預貯金が相続人の話し合いで遺産分割することができ、相続人全員の合意がなくても、裁判所の判断で事例に応じた配分が可能になります。判決は年内に出される見通し。
遺産分割は、遺言書がないときや、遺言書に記載されていない財産が見つかると相続人が話し合いによって取り分を決めるのが基本。相続人全員の合意が得られず、話し合いが決裂すると、裁判所に判断を仰ぐことになります。
不動産や株式などについては裁判所に申し立て、取り分を決定することができますが、預貯金については審判の対象外とされ、取り分は民法の規定に従って相続するとされていました。それは、最高裁の判決で預貯金のように分けることができる債権は「自動で(法定の相続分を)受け取れる」と示され、この判例に基づき預貯金は原則として、話し合いによる遺産分割の対象に含めてこなかったからです。
ただし、裁判所の実務では相続人全員の合意があれば、預貯金を遺産分割の対象に含めています。例えば、遺族ふたりで法定相続割合が2分の1だったときに、協議の結果、ひとりは預金が7割、もう一人は土地と預金3割を相続するというようなことが行われてきました。しかし、相続人全員の合意が得られない場合が問題になっていたのです。
<情報提供:エヌピー通信社>
◆三世代同居リフォームに減税制度創設! |
|
◆労働者募集に際しての注意点
人材募集に関して有効求人倍率は1.37倍と求人が活発な状況にありますが、労働者の募集に際して注意をする点について考えてみたいと思います。法的に規則で規制されている事項は主に3つあります。
1.年齢について・・募集に関しては原則として年齢制限を設けてはならない事になっています。例外として、定年年齢を上限としてその年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集する場合、例えば若年者等のキャリア形成を図る為、期間の定めのない労働契約の対象者として募集する時や技能、ノウハウを継承する観点から特定の職種において年齢層の人数の偏りを是正する為、特定の年齢層を期間の定めのない労働契約の対象として募集する時等です。年齢制限の上限を設ける場合にはその理由を書面により提示する事で若年層の募集も実施できるようになります。
2.性別について・・男性のみの募集、女性のみの募集は男女雇用機会均等法で原則禁止されており、例外としてはエステシャンのような風紀上、男性か女性に限定するものやホスト、ホステス等業務の性質上どちらか一方の性に従事させる事が必要であったり、守衛、警備員等防犯上男性のみに限定する者等があります。
3.求人広告の内容・・職業安定法では求職者に誤解を与えるような虚偽の広告や虚偽の条件を提示して労働者募集を行うと罰金が科されます。また、職業の紹介にあたっては労働条件を求職者に明示する事が求められます。具体的に従事すべき業務内容、労働契約の期間、就業場所、労働時間、賃金等の明示が義務付けられています。
平成28年4月にハローワークに出す求人に固定残業代の表示の仕方に対しての指針がありました。固定残業代(定額残業代とも言う)とは「一定の時間分の時間外労働や休日労働、深夜労働等を定額で支給する割増賃金」制度で、これを採用している企業の求人はその労働時間数や金額の計算方法、固定残業代を除いた基本給の表示、固定残業代を超えた時間数の割増賃金の追加支払い等を明示しなければならないとされました。
◆2017年卒も売り手市場が続く
人手不足と言われる昨今、来年の新卒社員を対象とした採用活動ですが、企業としては厳しい採用状況が続きそうです。
株式会社マイナビによる「2017年卒マイナビ企業新卒採用予定調査」では、2017年の採用予定を前年と比べて「増やす」とした企業が大学文系で26.0%、大学理系が31.4%と、共に前年比2.3ポイント上がったそうです。「減らす」とした企業より20ポイント以上も上回っており増やす企業が多いと言えます。この事は2012年から6年連続しており、売り手市場が続いています。
◆採用予定数の増加
2017年採用予定数を前年の採用実績数と比較すると全体平均は19.1%増で非上場企業では20.3%の増加で前年を上回っています。採用予定数の「大きな要因となったもの」は「将来の業績の見通し」45.2%、「年齢構成」44.9%、「前年の採用実績」36.5%が挙げられています。売り手市場の上に採用予定者数の増加もあって採用も一段と困難になりつつあります。
◆今後の新卒採用の見通し
同調査の採用見通しでは採用環境はさらに難しくなるということですが、その理由として「母集団(エントリー数)の不足」67.2%が最も多く、次いで「内定辞退の増加」59.5%、「活動の早期化へのスケジュール対応」47.2%と続きます。
今後は学生が求めている情報やアピールポイントを工夫する事も必要でしょう。
◆ミドル層の人材も人手不足
日本商工会議所の「人手不足等への対応に関する調査結果」(4,072社、回答59.1%)をまとめた結果の発表が6月に行われ、55.6%が「不足している」と回答しています。前年の調査より5.3ポイント上昇しています。業種別では宿泊・飲食業の不足感が大きく79.8%。介護、看護、運輸、建設でも6割以上が不足と答えています。求める人材は一定のキャリアを積んだミドル人材が69.0%と最も高かったと言う事です。
シニア人材においても前年調査比で高く幅広い層で不足感が拡大しています。
女性活躍推進については6割以上の企業で実施、検討をしているとの結果も出ています。