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コロナ禍を受けて、宿泊業者を取り巻く環境はとくに厳しくなっています。こうした中、温泉旅館を有する温泉地においてもコロナ禍での生き残りが求められています。
中小企業庁編「中小企業白書2021年版」に基づき、コロナ禍による宿泊業への影響についてみていきましょう。まず2019年の売上高を「100」とした場合の2020年の年間の売上高を業種別にみると、「75未満」の企業の割合は全業種で19.8%となっているのに対し、宿泊業では71.9%となっています。さらに2020年1月から10月のうち前年同期比で最も売上高が減少した月の売上高を業種別にみると、「50未満」の企業の割合は全業種で33.8%となっているのに対し、宿泊業では86.7%となっています。このことから宿泊業はとくにコロナ禍による売上減少の影響が大きい業種であることがわかります。
こうした中、宿泊業者が多く立地する温泉街においては、車で1~2時間圏内の近隣地域での観光を指す「マイクロツーリズム」の需要を捉えつつ国内需要を掘り起こし、リピーターを確保して稼働率を維持することが求められます。そのためにも地元の食や伝統工芸、観光資源、自然を体験できる機会を用意しつつ、近隣地域の消費者が地元の魅力を再認識する機会につなげていくことがカギになります。
また、テレワークを活用し観光地等で余暇を楽しみつつ仕事を行う「ワーケーション」などのニーズの高まりに対応するために、インターネット環境の整備や机、椅子、会議用の部屋の整備なども求められます。
上記のような「マイクロツーリズム」や「ワーケーション」のニーズに応えるためには、行政機関や宿泊業者などをはじめとした地域全体が連携することが求められるのです。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)