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経済協力開発機構(OECD)事務局は11月、多国籍企業による租税回避を防ぐため法人税に最低税率を設ける国際課税ルール案を公表しました。デジタル課税と並ぶ「第2の柱」と呼ばれる仕組みで、多国籍企業の子会社が置かれた国の法人税率が最低税率を下回る場合には、親会社のある国で最低基準との差額まで上乗せ課税できるようにします。
経済のグローバル化に伴い、法人税率がゼロまたは極めて低い租税回避地に関係会社を設立し、知的財産権使用料などの名目で利益を移して課税を逃れようとする多国籍企業は後を絶ちません。企業誘致のために各国の法人税率引き下げ競争は過熱し、国家財政への影響も懸念され、国際ルールの必要性が議論されてきました。
OECD案は、世界共通の最低税率を設定し、巨大IT企業などが税率の低い国や租税回避地(タックスヘイブン)を利用するメリットを減らし、日本を含む多数の国が適正な税収を確保できるようにするのが狙い。最低税率の数値は今後協議しますが、ゼロから数%の税率が多い租税回避地と、日本を含む主要国(20~30%前後)の間である10~20%程度の範囲内になる見通し。
そのために多国籍企業の税負担の計算方法として、今回のルール案では「子会社ごとに判断する」「国・地域ごとに把握する」「全世界の平均値を取る」といった選択肢を示しました。
企業が関係会社を置く国ごとに最低税率との差額を計算する手法を支持する国が多いのですが、アイルランドのような低税率国は、複数の国をまとめた平均値との差額を計算する手法の方が有利となるため反対し、意見が対立しています。OECDは12月まで産業界や各国、識者などから意見を募集していて、2020年中の合意に向け、今後各国が協議を本格化させます。
<情報提供:エヌピー通信社>