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国税庁が公表した2016年分の所得税や贈与税の申告状況によると、所得税を納めた個人が申告した所得の合計額は40兆円を超え、08年のリーマンショック発生以降で最高を記録しました。また土地などの譲渡所得も前年より1割増え、全国の地価が上昇傾向にある状況を反映した結果となりました。
16年分の所得税の確定申告書を出した人は2169万人で、前年から約18万人増えました。そのうち、所得税の納税額のある人は637万人。特筆すべきは所得金額で、申告納税額のあった637万人の所得を合わせると40兆572億円となり、リーマンショックのあった08年(39兆5940億円)以降で最高を記録しました。円安株高基調のなかで富裕層を中心とする個人所得が増加してきたことが、その背景にあると見られます。納税額は前年比3.1%増の3兆621億円でした。
特に著しい伸びを見せたのが、土地や建物の譲渡所得。49万5千人に譲渡所得があり、所得の合計額は4兆4652億円でした。前年から1割伸び、7年連続で増え続けていることになります。一方で申告人員は前年比1.2%と微増にとどまっていることから、不動産価格の高騰がそのまま譲渡所得の増加に結びついている状況ということでしょう。
土地の譲渡所得が伸びる一方で、株式の譲渡所得は所得のあった人が前年比36.3%減と大きく落ち込みました。昨年初頭の中国市場の混乱から、英国のユーロ離脱、米のトランプ大統領誕生など、株価を混乱させる出来事が多かったことが反映したと見られます。翌年以降へ譲渡損失を繰り越した人も前年から3割以上増えました。
一方、所得のあった1人当たりの金額は前年比49.7%増と大幅に増えていることから、株式市場では少数の「勝ち組」がさらに富を増やした1年だったと言えそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>